Q.ドラムに無いものな〜んだ?

2024/11/21

Word2vec
なぞなぞ

1. はじめに

はじめに

こんにちは。突然ですが、皆さんはこんなツイートを知っていますか?

https://x.com/1119_2916/status/1100002429569908736

https://x.com/dem08656775/status/1137996272491683840

ドラムに無いものを列挙しているだけですが、とても面白いです。そこで、今回は自動的にドラムに無いものを列挙してくれるプログラムを作ろうと思います。(今回はGoogle Colaboratoryを使います)

Word2vec

昨今世間を賑やかせているChatGPTなどのLLMでやれば一発でできそうですが、単語を並べるだけなのでもう少し単純な構造でできそうです。 今回はWord2vecを使います。学習済みモデルは東北大のものを使います。

はじめにファイルをダウンロードして展開します。

 
import os
import bz2

# ダウンロード用のリンク
url = "https://github.com/singletongue/WikiEntVec/releases/download/20190520/jawiki.word_vectors.300d.txt.bz2"
download_path = "jawiki.word_vectors.300d.txt.bz2"

# ファイルをダウンロード
!wget -O {download_path} {url}

# 展開先のファイルパス
extracted_file_path = "jawiki.word_vectors.300d.txt"

# bz2 ファイルを展開
with bz2.BZ2File(download_path, 'rb') as file_in:
    with open(extracted_file_path, 'wb') as file_out:
        file_out.write(file_in.read())

# 展開完了の確認
print(f"展開が完了しました: {extracted_file_path}")
print(f"ファイルサイズ: {os.path.getsize(extracted_file_path) / (1024**2):.2f} MB")

ファイルサイズ: 2497.65 MBとそれなりに大きいですが、LLMと比べるとかなり軽めです。次にWord2vecモデルに埋め込みます。

 
from gensim.models.keyedvectors import KeyedVectors

# ファイルパス
vector_file_path = "jawiki.word_vectors.300d.txt"

# ベクトルを読み込む (テキスト形式の埋め込み)
word_vectors = KeyedVectors.load_word2vec_format(vector_file_path, binary=False)

類似度

Word2vecでは、コサイン類似度によって単語間の類似度が測定できます。 例として、「東京」と類似度の高いものを出力してみます。

 
# 動作確認: ベクトルを確認
word = "東京"  # サンプル単語
# 動作確認: 類似する単語を取得
similar_words = word_vectors.most_similar(word, topn=5)
print(f"'{word}' に類似する単語:")
for similar_word, similarity in similar_words:
    print(f"  {similar_word}: 類似度 {similarity:.4f}")

実行すると、 '東京' に類似する単語: 大阪: 類似度 0.7832 名古屋: 類似度 0.7182 日本橋: 類似度 0.6581 新宿: 類似度 0.6558 神奈川: 類似度 0.6545 となりました。

では、ドラムと「ねこ、座布団、…」の類似度はどのようになるでしょうか?

 
# 単語ベクトル内に存在する単語のみをフィルタリングし、類似度を計算
def calculate_similarities(word_vectors, base_word, target_words):
    """
    基準単語とターゲット単語リストの類似度を計算する。

    Parameters:
        word_vectors (KeyedVectors): 単語ベクトル。
        base_word (str): 基準となる単語。
        target_words (list): 類似度を調べる単語のリスト。

    Returns:
        list: 各単語の類似度(単語, 類似度)のタプルのリスト。
    """
    if base_word not in word_vectors:
        raise ValueError(f"'{base_word}' は辞書に含まれていません。")

    similarities = []
    for word in target_words:
        if word in word_vectors:
            similarity = word_vectors.similarity(base_word, word)
            similarities.append((word, similarity))
        else:
            print(f"'{word}' は単語ベクトルに含まれていません。")
    
    return similarities

# 基準単語と単語リスト
base_word = "ドラム"
target_words = [
    "ねこ", "座布団", "セガサターン", "ミカヅキモ", "おこづかい帳", "バチカン市国", 
    "液体窒素", "週刊誌", "消化器系", "ミソサザイ", "チャイルドシート", 
    "釈迦三尊像", "瞬足", "Anitube", "緊急脱出用出口", "レレレのおじさん", 
    "大憲章", "カヤック", "千歯扱き", "感情", "陸軍の統帥権"
]

# 類似度を計算
try:
    similarities = calculate_similarities(word_vectors, base_word, target_words)
    # 類似度で降順ソートして表示
    sorted_similarities = sorted(similarities, key=lambda x: x[1], reverse=True)
    print(f"'{base_word}' の類似度(降順):")
    for word, similarity in sorted_similarities:
        print(f"{word}: {similarity:.4f}")
except ValueError as e:
    print(e)

結果は以下のようになりました。

 
    'ミカヅキモ' は単語ベクトルに含まれていません。
    'ドラム' の類似度(降順):
    液体窒素: 0.3507
    チャイルドシート: 0.2766
    感情: 0.2256
    座布団: 0.2250
    瞬足: 0.2050
    ねこ: 0.2040
    セガサターン: 0.1680
    カヤック: 0.1532
    ミソサザイ: 0.1433
    釈迦三尊像: 0.1428
    週刊誌: 0.1165
    バチカン市国: 0.0662

液体窒素との類似度が少し高いのが謎ですが、大体0.3以下くらいです。 そこで、ここからはある単語○○について、「○○にないもの」をその単語とのコサイン類似度が小さいものとして考えます。

Q.ドラムに無いものな〜んだ?

「ドラム」について類似度が0.3以下の単語を出力させてみます。

 
import random

def sample_similar_words(word, word_vectors, threshold, num_samples):
    """
    指定された類似度の閾値以内の単語をランダムにサンプリングします。

    Parameters:
        word (str): 基準となる単語。
        word_vectors (KeyedVectors): 単語ベクトル。
        threshold (float): 類似度の閾値(例: 0.5)。
        num_samples (int): サンプリングする単語数。

    Returns:
        list: サンプリングされた単語のリスト。
    """
    if word not in word_vectors:
        raise ValueError(f"'{word}' は辞書に含まれていません。")

    # 類似度を計算し、閾値内の単語をフィルタリング
    filtered_words = [
        other_word for other_word in word_vectors.index_to_key
        if word_vectors.similarity(word, other_word) <= threshold
    ]

    # サンプリング可能な単語数を確認
    if len(filtered_words) < num_samples:
        raise ValueError(
            f"サンプリング可能な単語が {len(filtered_words)} 個しかありません。"
        )

    # ランダムにサンプリング
    sampled_words = random.sample(filtered_words, num_samples)

    return sampled_words

# 使用例
word = "ドラム"
threshold = 0.3  # 類似度の閾値
num_samples = 20  # サンプリングする個数

try:
    sampled_words = sample_similar_words(word, word_vectors, threshold, num_samples)
    print(f"'{word}' と類似度が {threshold} 以下の単語(ランダムに {num_samples} 個サンプリング):")
    print(sampled_words)
except ValueError as e:
    print(e)

出力結果は以下のようになりました。

 
'ドラム' と類似度が 0.3 以下の単語(ランダムに 20 個サンプリング):
['セラーニク', '島原文化会館', 'ゆずソフト', 'ASF', 'Monteverde', 'オープナー', '語りかけよ', '誘爆', 'コウガネ', 'アランソン', '相撲部', 'アラーナ', '25ユーロ', 'アブドゥライモフ', 'Ascaris', '圖克', '出方', 'glutamatergic', '米城', '207年']

本家とはクオリティの差がありますが、いい感じではないでしょうか。